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令和元年 6月定例議会報告

千葉県議会6月定例議会が6月5日~28日、24日間の会期で開かれ、13議案件が可決、3議案が同意されました。

その中でも今回注目すべきポイントは、『補正予算』です。1月の柏市での児童虐待死亡事件を受けて千葉県は5月8日に、今後の再発防止に向けた「児童虐待防止緊急対策」をとりまとめました。

この対策のうち【児童相談所の体制強化・関係機関との連携強化・広報、啓発の強化】などについて可及的速やかに取り組む必要があるため、補正予算を編成しました。

 

千葉民主の会 代表質問 < 礒部裕和議員>

《知事の政治姿勢》

知事と議会は、地方行政において車の両輪であり、令和の時代を迎え、さらなる議論の活性化が地方の活力に繋がると考えています。

森田知事は平成21年3月の当選後、3期10年の取組において「くらし満足度日本一」を掲げて政策を実行してきましたが、任期も半ばを過ぎ、「くらし満足度日本一」を達成するためには、「何が不足し、残りの任期で何を行おうとしているのか」と質問しました。

知事は、「安全で豊かなくらしの実現」のために、交通死亡事故死者数が依然として多いこと、「千葉の未来を担う子どもの育成」のために、保育所等待機児童が引き続き発生していること、「経済の活性化と交流基盤の整備」のために、育児期における女性の有業率が低いこと、を課題として取り上げました。そして、それらの課題解決に向けた取り組みを進めていくことを答弁しました。

いずれの課題も大変重要であることから、千葉民主の会として具体的な対策を今後継続して提案していきます。

 

《私立高校の授業料減免補助》

安心して子どもを産み、育てることができる社会は、今多くの県民が望んでおり、子育て家庭は、意図的に教育サービスの豊かな自治体を選んで居を構える傾向にあります。

県内では、流山市が「母になるなら流山」などの印象的なコピーで子育て世代に対するアピールに成功していますが、千葉県として教育の充実は、隣接する東京都や埼玉県の動向を見ながら、自治体間競争に負けない施策展開が必要です。

県は、県内私立学校に進学する生徒に対して、一定の世帯収入の要件に応じて授業料の全額減免・2/3(3分の2)減免を行っていますが、他都県の私立学校に進学した際は千葉県の授業料減免補助制度は適用されません。そこで、「私立高校授業料減免補助制度」について、他都県に進学する生徒に対しても対象とすべき、と質問しました。

森田知事からは、保護者負担の軽減については、在住地・在学地に関係なく全国一律で支給される制度が望ましいと考え、国に対して要望してきたとの答弁がありました。

来年度からは、国の私立高校の就学支援金制度の拡充が予定されていることから、これまで県が支出してきた授業料減免補助制度に係る予算の相当分が国において代替されるため、千葉県としてさらなる制度の充実を要望しました。

 

《RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)》

今後、人口減少が進むとともに、ICTやAIの技術が進んでいくことが予想されています。県庁組織の業務や体制も柔軟に変化させていくことが求められる中、今年度からRPAの実証実験が行われることになっています。

RPAとは、簡単に言うと、これまで人の手で行っていた単純だが膨大な量の入力作業をコンピュータのプログラミングで自動的に行うこと、とされ、省力化や作業効率の上昇など、様々な効果が期待されているICT活用の一貫です。

今年度実証実験を行い、来年度以降の本格的導入に向け検証が行われる予定となっていますが、今後のRPAの活用を考えると、県庁職員が自らプログラミングできるよう、研修体制を構築する必要があります。一々外注・委託をしていると、RPAを導入した方がコストが嵩むことになりかねません。

そこで、RPAを効率的に運用するための研修体制の構築や、RPAを導入する市町村に対する支援について質問しました。

高橋副知事からは、研修体制の重要性は認識していること、実証実験を元に課題の洗い出しを行うこと、市町村に対しても導入する際の効率的な方法について市町村の意見を聞くこと、との答弁がありました。

今後、県庁職員が千葉県をより良くするクリエイティブな職務に携わっていけるよう、RPA等、ICTの効果的な導入を進めていきます。

 

《児童虐待》

現在、県内の児童相談所における一時保護児童の数が、大変増加しています。特に、中央・市川・柏の児童相談所では、常に定員をオーバーしている状況が続いています。

児童虐待通告件数も増加の一途をたどる中、一時保護所の過密化解消は急務であると考えられ、県でも6月補正予算において、各児童相談所の一時保護所の定員を増やすため、工事を行うための予算を計上しています。

一時保護所はあくまでも一時的に児童を保護するために、児童相談所に併設されている居住空間であり、本来であれば、家庭復帰・里親委託・児童養護施設など、いずれかの行き先が受け入れられるよう環境整備がされていかなければいけません。しかし現状では、里親委託数・小規模な児童養護施設・ファミリーホームやグループホームの整備は道半ばであり、さらなる充実が求められています。

そこで、県として一時保護所を退所した後、家庭復帰が困難な子どもたちの処遇に関して、児童養護施設や家庭的養護の受け皿の整備について質問しました。

滝川副知事からは、平成27年に策定した「千葉県家庭的養護推進計画」に基づき、施設の小規模化への改修やグループホームの設置、施設職員の増員などに取り組んできたこと、今回の虐待事件を受けて里親の新規開拓の推進や小規模家庭的な児童養護施設の整備推進を行うとの答弁がありました。

さらに、策定から5年が経過していることから、「千葉県家庭的養護推進計画」の見直しと、都道府県社会的養育推進計画の策定について再質問したところ、横山健康福祉部長からは、今年度中に計画の全面的見直しを行うとの答弁がありました。

今後も児童虐待について、再発防止と被虐待児童の処遇改善に全力で取り組んでいきます。

議会報告 2019.07.28